若者のバイブル「ホットドッグプレス」を知ってるか!(後編)
若者のバイブル「ホットドッグプレス」を知ってるか!(後編)

若者のバイブル「ホットドッグプレス」を知ってるか!(後編)

 とにかく、ホットドッグプレスには振り回された。メモを取ったその場所に、合コンで知り合った女性を連れていっても、反応はイマイチだったことを今でも覚えている。ホットドッグプレスを神様のように信じていたアニキにとっては、「なぜだ?」という疑問符で一杯だ。今でこそその理由はわかるのだが、当時のアニキはいっぱいいっぱいだ。全く余裕がない。六本木なんて写真でしか見たことがないのに、いきなり「カフェバー」だ。どこかおどおどしてて、自信がなかったのは見抜かれていたのだろう。七五三のように、どこかサイズが合ってない服を着て、馴れてないのはすぐバレてたはずだ。それだけじゃない。なぜか、同じ境遇の同輩をかなり多く見かけた。飲みながらキョロキョロ周りをみると、七五三だらけだ。こんなシチュエーションでは、女性も気恥ずかしいはずだ。その後すぐに別れた女性は多かった。何もかもがダメダメの連続であった。要は、同輩は皆、ホットドッグプレスを見て、同じ服を着て、同じ場所を目指していたのだ。アニキはホントにこれを何度か経験した。真鶴のレストラン、伊東のペンション、葉山マリーナなんかで経験した。違う場所で同じ奴を見かけたこともあった。そう、まさにアニキはホットドッグプレスのカモだったのだ。デートマニュアルがボロボロになるまで見倒した男も数少ないだろうが、アニキはその一人だ。まるで英語の辞書のように使い倒した跡があった。当時、どの店が何ページに出ているかを答えることができたぐらいだ。今となっては恥ずかしさ全開だな。
 でも今アニキは、「こんな経験をしたから今の自分がある」と言い聞かせて、その時代の自分を正当化しているが、本心は本当に必要だったのかどうか疑わしいと思ってる。まあ、それはどうでもいいのだが、ホットドッグプレスはその後なくなってしまった。それは誰もが、ホッドッグプレスに載ってる物を買わなくなり、紹介されてるスポットには行かなくなったからだ。アニキもそうで、ホッドックプレスに載ってる場所を避けるようになってからは、デートが成功する確率が高くなった。なんと、皮肉な話だろうか。売れてる雑誌の効果は恐ろしいと、そのとき初めて感じた。
 何度でも言うが、ホットドッグプレスがアニキに与えた影響は多大だ。デートスポットなんかはどうでもいいのだが、他にもいろんな影響を受けた。彼女とドライブに行く時にかける曲なんかも指定がある。行きはサザンで、帰りはユーミンだとかだ。今から思えばバカらしいのだが、当時は真剣にテープにCDをダビングした。いまだにその頃のカセットテープが山ほどあり、かみさんから「邪魔だ」と嫌がられている。
 アニキは何が言いたいのかというと、くだらない経験も血になり骨になる。若い頃のバカな行動が多ければ多いほど、人生に厚みができると考える。女のケツを追いかけていた若かりし頃の経験があるから、「なぜ男は、いくつになっても女が好きなのか?」という研究テーマに繋がってくる。
 人生、無駄なことはひとつもない、と言われるのは本当だということがわかる瞬間でもあるのだ。しかし、現代の若者はそんなものに引っかからないのは寂しい限りである。まあ、そんなことよりも自分の人生だ。今日は哲学の話はどうでもよい。一人の中年男として話したい。
 アニキが期待するのは、「50代男の20代女性をゲットする方法」だ。そんなテーマで、ホットドッグプレスが再開したのなら、アニキはまた真剣な読者となるはずだ。アニキだけではない、多くの50代男連中は、20代30代の男共に20代女性は任せられないと思ってる。50歳を超えた熟した男が一番だと自負している。最高に脂がのった(特にお腹周りに)50代男だ!20代男などはただのボクチンだ。何をとっても我々にかなうはずはないのだ。
 そんなはかない夢を見て、ホットドッグプレスの「50代のデートマニュアル」が出るのを待ちたい。