アニキが若い頃のバイブルだった。カテゴリーはよくわからないが、ファッション雑誌に近い。この名前で検索すると、賛否両論あるが、あまりいい評判はない。しかしあの頃、アニキは真剣に読んでいた。なんで、こんなに真剣に読んでいたのだろうかと、今考えればちょっと恥ずかしい。当時、ポパイと双璧であった。両方とも好きな雑誌ではあったが、なぜかホットドッグプレスの印象が今でも強烈だ。先日、同年代の女性と飲んでる時に、昔話で「ホットドッグプレス」を愛読していたと話したら、「気持ち悪い」とか、「いやらしい」と言われた。とても心外なのだが、そういう評価の雑誌だったのかと、今更ながらに驚いた。
創刊は1975年というから、アニキがまだ小学生の頃だ。そんなに古いのかと、この雑誌の重みを感じさせる。なぜ、この雑誌の評判がなぜ悪かったのか不思議だ。でも、アニキ達ティーンエイジャーの男共には人気だった。高校の教室では、だれかが持って来ていたし、電車の網棚によく捨ててあったのを拾い読みしたものだ。
この雑誌にのめり込んだ理由を思い出したい。かなり古い記憶だから正確には覚えてないが、他の雑誌とは異なり、デートマニュアルに特化していたところが気に入っていた。とにかくこの雑誌、「おんな、オンナ、女」だ。ナンパやデートといった特集が毎回組まれていて、アニキ達は目を輝かせていた。アニキは千葉の高校生だったから、特に憧れは強かった。渋谷や青山とはいかなるところか?と。桃源郷にも匹敵する眩しい輝きがあり憧れだった。地方の若者はたぶん、アニキと同じ感覚ではなかったのか?
そんなホットドッグプレスだが、最大のメリットは「デートマニュアル」だ。最終的には単行本で出版されたが、コピー機もまだ出回ってない時代だ。重要な部分は必死にメモした。店はどこ、服はこれ、プレゼントはそれなど、いちいち納得がいく説明つきなもんだから、とにかく真似た。高校時代は、早く大学生になりたいと思っていたから、アニキの受験勉強のモチベーションが保てたのは、ホットドッグプレスのお陰だとも言える。
で、晴れて大学生になったはいいが、車も持っていないと始まらないということもあり、大学生になってからは、授業もそっちのけでバイトをしまくった。千葉県民のくせに、三浦半島にあこがれた。今は房総半島の方が、すべてにおいてレベルが上だと思っているが、当時は「女子大生が三浦半島」と言うものだから、「そうなのだ」と真剣に思っていた。
今は偉そうに話しているアニキも、当時はただのバカ者だ。