だから、社長は自らが先頭に立って掃除を指揮するぐらいにならないといけない。特に大事なのは、一番目立つところを掃除することだ。会社の入り口だ。それも、会社の敷地だけでなく、道路までも掃除する。公共の場まで踏み込んで掃除することをやらねばならない。さらにもっといいのは、道行く人ににこやかに挨拶するのだ。「おはようございます」「いってらっしゃい」だ。通りすがりの知らない人に対してこれをやる。最初は気味悪がるかもしれないが、徐々に人は慣れてくる。自然と会社の評判が上がり、業績も落ちることはない。これはひとつの例であるが、上を目指す会社の社長は、決して掃除を疎かにしないものだ。
また、アニキが知ってる社長には、トイレ掃除が日課の社長がいる。この人もすごい。結構な時間をかけて丁寧にトイレを掃除する。それを何年も毎日やるのだ。従業員はその姿を見て、どう思うだろうか?「社長なんだから、トイレなんか掃除せずに、もっとやることがあるだろう」と思うか?そうじゃない、従業員も真剣になって自分の持ち分の場所を掃除するようになるのだ。その結果どうなったかだが、掃除に時間を取られて業績が落ちたと思うか?その逆だ。従業員の心が一つになり、目標に向かって進むことになる。掃除という単純作業を真剣にやるだけで、人の心は変わる。真剣にやればやるほど、まだまだ足りないという感情が生まれる。掃除してない場所が気になり、そこをもきれいにしようという意識が芽生える。人はさらに一生懸命に取り組むことになる。
この掃除に対する取り組み姿勢が、仕事に乗り移る。楽することからは何も生まれないという意識に変わる。この相乗効果が会社を常勝させることになる。その時の相乗効果とは何か?実はこれこそが、掃除の秘密である「心をきれいにする」ことの効果なのだ。
掃除を真剣に取り組むことにより、いろんなことが理解できるようになる。掃除した場所には愛着が湧き、掃除してない場所が気になってくる。また、壊れた物や放置されたゴミなどが気になるようになると、物を大切にする心が生まれる。そして、汚さないように工夫する。自分で掃除するから、汚さないように使うという心も生まれる。で、汚さないようにしているのにも関わらず汚れる場所があることがわかる。なぜここだけ汚れるのだろうか?ということに関心がいく。トヨタなんかもよく言ってる。汚れた場所に問題があると。これも掃除の極意に繋がっている。汚れが溜まる場所というのは、機能していない場所だ。人が見落としている場所だ。そんなことも理解が深まるとわかるのだ。