原始機能は人間だけの機能である。他の生き物には存在しない。ここにもうひとつの原始機能の謎がある。一見、原始機能はすべての生き物に備わっているように見える。しかし、他の生き物のそれは「本能」である。本能と原始機能は別物である。少しややこしいのだが、ここがしっくりこないと腑に落ちないだろうから、ここを説明しておこう。
実は最近ある後輩からも、アニキ哲学の「原始機能」は、結局「本能」と同じじゃないかといわれた。確かに似ているように見えるのだが、全く異なる概念だと言っておこう。よく考えてほしい、本能と原始機能は同じじゃないことがわかる。どこが違うのかというと、備わっているその目的が異なっているのだ。本能の目的は「生きるため」、原始機能の目的は「成長・進化するため」に備わっている。ここを混同させてはならない。
本能はあらゆる生き物に備わっていて、もちろん人間にも備わっている。しかし、原始機能は人間だけにしか備わっていない。人類と他の生き物とは、存在する意味が異なっているのだ。創造主は生き物すべてを作ったと考えられる。しかし、人間以外の生き物には「種の繁栄」のみが目的だ。創造主はサルに向かって、「成長しろ」なんて言ってない。生き抜くこと、すなわち「種の繁栄」のみだ。だから、そのために必要な機能のみ備えている。それが本能だ。一方、人間には「成長・進化しろ」と命令されている。そのために、成長・進化に必要な最低限の機能が備えられている。700万年前のホモサピエンスには、原始機能がセットされて地球という野に放たれたのだ。その結果が、今の世の中だ。創造主がこの進化を良しとしているのかどうかは別にして、人間以外の生き物がここまで進化していないことを考えると、人間にだけに備わっている機能と解すべきなのだ。生きるだけの機能である本能は、誰でも知っての通りお腹が減ると食べ物を探したり、交尾のやり方などだ。これは人間にも当然備わる。赤ちゃんは泣いて欲求を表現するのもそのひとつだ。
では、人間にしかない原始機能とは、どんな機能なのだろうか。興味を持ってくれただろうか?詳しくは、この後の原始機能シリーズで様々な人間の原始機能を紹介してゆくつもりだが、代表的な原始機能をちょっとだけ紹介しておこう。アニキの過去ブログでもチョコチョコ登場したから、覚えてる人もいるかもしれないが、何と言っても「美人崇拝」だろう。男は美人が好きだ。これは男の原始機能で、「俺はそうじゃない」なんて、嘘ついてもダメだ。これは一見、本能に見えるのだが、人間以外の生き物で、美人崇拝を持ってる動物なんか存在しない。だから、これは本能ではなく、れっきとした原始機能だ。太古の昔から、男は美人が好きなのである。それと「欲」だ。食欲や性欲という生きるために必要な欲、すなわち本能のことではなく、もう少しレベルの高い欲だ。マズローの5段階欲求のうち、2段目以降が人間の原始機能であると考える。欲は原始機能であり、創造主がバリューセットに含めてくれているのだから、それを否定するのはナンセンスなのだ。無欲を目指したり、欲を捨てるなどというのは、アニキから見れば不可解なのだ。つまり、元々備わっている機能である欲を捨てるという考えこそが、欲なのだ。「無欲を目指したい」という欲であり、「欲を捨てたい」という欲だから、そんな修行は矛盾しているのである。