もうこれでわかったであろう。与えられる学校で過ごす子どもと、自ら貪欲に盗んでゆこうとする子どもが、将来グローバルで戦ったらどうなるか、答えは出ている。日本人にはまず勝ち目がないだろう。勉強する覚悟が違うんだよな。
自分から勉強を求めてゆく子どもがいる国、これが将来伸びる国だ。国自身は将来も貧しいかもしれないが、個人は違う。国の貧しさに左右されない状態に自分を置くことができる。アグレッシブで優秀な海外の子どもは、貧しい自国ではなく、就職先を海外に求めてゆけるからだ。これからの日本人の子どもはそんな人材と争うことになる。今はまだいい。ギリギリ日本国内を舞台にして仕事ができるからだ。しかし、どう考えても、これからは海外が舞台だろう。そうなると、今の日本人の体質では簡単にやっつけられてしまうのが目に見えている。背負っているものが違いすぎるのだ。他国の子どもは常に危機感を覚えているので、子ども時代から将来の武器となる技能を磨いている。
だからアニキは、いつも武器を磨け鍛えろというのだが、サラリーマンになってから武器を磨いても、本当は遅いのだ。日本人はサラリーマンになって初めて、自分の武器を磨き始める。気づきが遅すぎるのだ。今はまだいい、日本人には戦後の高度成長を支えた貯金がある。しかし、それももう役に立たなくなっていることに気がついている人も多いだろう。それに、アニキ達の年代はうまく行けば逃げ切れるだろう。野球で言えば、今、三塁にいるようなものだ。あとはバックホームすればいいだけだ。ところが、これから打席に入る連中はそうはいかない。強力な魔球を持つ投手が相手チームに交代で入ってきたからだ。それがグローバルライバル達だ。将来のグローバルなライバル達は、すでに必要な能力を子どもの頃から着々と身につけている。数カ国の言葉を操るが、語学なんか自転車に乗るぐらいの技術であり、武器だとは全然思ってない連中だ。英語を身につけるだけでヒイヒイ言っている日本人とはレベルが違う。
本当のグローバル社会になった時、ほとんどの大卒者が日本の外で就職活動する時代が来る。そこでは、世界中の優秀な人材と採用試験で戦うことになる。そのときには、前述の発展途上国の学生とも競争することになるのだ。そんな奴らに勝てる気がするか?
人生は大海へこぎ出すことだと、アニキは言った。これからの海は最初から荒れている。漁師でも出て行かないような荒れた海に、いきなり出て行かねばならない。穏やかな海はほとんどない時代がやってくる。そのために、学生時代から武器を磨かねばならない時代になる。そうなると、海に出てから悠長に武器を磨き始めても遅いのだ。
じゃあまず、子ども時代に磨かなければならない武器とは何か?「感謝する力」だ。これをおいて他にはない。なぜ感謝する力を磨かなければならないのか?本編でも何度も話したが、「運」を味方につけるためだ。だから、武器として一番ほしいのは、「運」の力なのだ。それには、感謝する力を磨くしかない。運が味方につけば、何をやってもうまくいく。ミスしても、万事塞翁が馬だ。他の技能はその後でもよい。日本って国は、太古の昔からそのことを知っている国のはずだ。外国の罠にはまって、運を磨くことを忘れてしまっただけだ。もう一度、昔の日本に戻り、やり直せばよい。
じゃあ、どうやって「感謝する力」を磨けばいいのか?って。それは簡単だ、今の自分の状況すべてに感謝すればいいだけだ。そうすりゃ、運が向いてくる。そしてアニキは言う、そんな運を味方につける基本の力「感謝する力」は小学校から身につけることができると。