また本題から逸れるが、せっかくだから道(どう)についてもう少し説明しておこう。アニキ哲学では、日本人の行動の源である「道(どう)」を哲学の柱としている。過去ブログでは何度も日本人の行動の本質は「道の精神」だと書いてきた。そして、アニキ哲学の考え方のひとつに、「すべての概念には相反する2つの事象が引き合ってバランスを取っている」というものがある。道にもいい面だけということはない。その意味では、道(どう)の対極が「獣道」である。アニキ哲学において、獣道は「けものみち」ではなく、「けものどう」と読む。道(どう)の精神をマイナス側に使うという意味である。日本人の生き方の精神を象徴するプラスの概念が道(どう)であるが、マイナス側にそれを生かすことも可能であり、負に向かって極めてゆくこともできてしまう。残念なことだが、マイナス側にも磨けてしまうのだ。世に中のよいと言われる物や考え方にはすべて裏も存在するというのがアニキ哲学だ。だから、始末が悪い。人間の創造主はよく考えて作ったものだと思う。良い物を手に入れようとすると、そのすぐ隣には負の意識があり、簡単には手に入らないようにできている。道の精神も武器だと考えればしっくりくるだろう。アニキがブログで提唱するサラリーマンに武器は考え方の武器が多い。何か、伝説の剣でも与えてくれるのかと期待しても、そんなものはどこにもない。自分の心とそのしもべである脳の使い方が武器なのだ。心が行動軸を作り、脳に行動指示を与えるだけだ。だから、考え方に間違いがあると裏目に出る。誰もが簡単に持つことができる技能だが、考え方次第ではマイナスに作用する。稲盛さんも言っているあのかけ算だ。最後に考え方というマイナスのかけ算をすると、いままで努力で増やしてきた莫大な数字は一気に莫大なマイナスの数字に化けるのだ。人生を象徴する方程式であり、肝が冷える。要するに、武器にいい物も悪い物もない。武器を使う者次第ってことがこの世の真理だ。考え方次第で武器にも凶器にもなる。獣道とは言わば、スターウォーズのフォースの暗黒面と言うのが一番しっくりくるだろう。
アピーラーに話を戻すと、出世の暗黒面に心を奪われたサラリーマンこそがアピーラーであり、自分の評価や出世のためには何でもありという覚悟を決めた人種だ。人間の欲望は常に暗黒面に支配されている。ダースベイダーだって若い頃はいい奴だったんだ。それが考え方で変わってゆく。サラリーマンなんかもっと心が未熟だから、簡単に暗黒面に落ちるのはわかるだろう。
そんな狭い会社の中にあって、正当な競争で出世を期待しているのは世の中のごくわずかなサラリーマンだ。ほとんどのサラリーマンは自分の実力のなさに落ち込む。実力では無理だと悟り、ライバルに嫉妬する。しかし、何とか出世はしたい。だから、禁断の果実に手を出し、ライバルの足を引っ張ることを平然とやる暗黒面へと落ちるのだ。それがアピーラーだ。
悲しいその素性を聞くと同情もするが、そのアコギな手口は決して誉めらるものじゃないが、サラリーマンという性質上、命まで取られることはない。