業務に自信のないアピーラー部長は常に自分がその地位を追われることになるとヒヤヒヤしている。そう、アピーラーは非常に小心者であり、自分の実力のなさという化けの皮が剥がれることをおそれ、保身のためにウソをつく。ただ、それが、若い頃のようなライバルを蹴落とすという個人レベルではなくなっている。部長という役職になってつくウソは、会社の信用すらも自分の保身と天秤にかける。そのため、ウソのレベルも桁違いであり、アピーラー上司はモンスター化するのだ。
モンスター上司はウソをつくことには大胆だが、一般的には正攻法の議論にはめっぽう弱い。では、アピーラー上司を見抜く2つのポイントを教えよう。まず、交渉の場を避ける。実力がないために、交渉や議論にめっぽう弱い。相手の圧力に対してはすぐに黙ってしまい、仕事の軸がないので言い返せない。ウソで対抗する場合もあるが、相手が実力者なら簡単に論破されてしまう。なぜなら、大概のアピーラーの論理は裏付けデータがないので、根拠がないことが多い。そんな感じだから、アピーラー上司は絶対に部下を交渉の場に連れて行かない。ひとりで相手先を訪問して話をしようとする。部下に自分がやられる姿を見られたくないのだろう。だから、ひとつめのポイントは、取引先へは自分一人で訪問するという点だ。2点目は1点目と似たようなものだが、電話は隠れてする。現在、会社の電話を使うより携帯電話で会話する方が多いはず。携帯電話に電話がかかってきたら、そのままどこかへ歩いて行って電話する。また、自分から掛けるときは必ずだれもいないところで電話する。この習慣がある上司は必ずといってもいい。まず間違いなくアピーラー上司である。
そんなアピーラー上司が一番恐れているのは、自分の実力のなさの暴露だから、それを見透かされないように用意周到に社内で立ち回る。自分に不都合な奴の排除が一番の仕事となる。それは長い年月、相手の足を引っ張ることや架空の手柄ストーリー作りに夢中だったために、本来の業務で鍛えられてないがための話であり、身から出た錆だが、一度歩んだアピーラーの道はもう戻れない。そのため、アピーラー上司となったこの先もアピーラーとして突き進むしかなく、ライバルを蹴落とすのではなく、ライバルになり得る実力者の排除が必要となる。だから、有望な実力のある部下を嫌う。いつ、自分のポジションに取って代わるかわからないからだ。そのため、アピーラーは最後の罠を張る。それが、「実力者の異動」である。自分の部下で実力があり、性格もよく年齢も近い人間がターゲットだ。周りからの人望がある奴はなおさら早めに排除だ。だれが見ても出世しそうな奴が一番のターゲットとなる。前のブログでも話したが、部長とその部下に5年以上の開きがあればまず間違えない。アピーラーは「使える奴はみんないなくなる」と残念そうに話すが、どの口がそれを言うと。全部自分で追い出したんじゃないか。ここでもアピーラーの演技力が全開だ。