正義は立場によって変わる。これがわかってない人が非常に多い。自分側の正義だけが正義だと勘違いしている。相手側の正義は認めない。これは勝手な思い込みであり、考え方を変える必要がある。じゃあ、正義とはなんぞや?という話からしていこう。
アニキが子どもの頃のマンガやヒーロー物では、必ず正義の味方が登場し、悪者をやっつけた。ヒーローが悪者をやっつけるその姿を見て、子どもはかっこいいと思った。悪者はすべて「悪」であり、正しいのは常にヒーローであった。これは実は洗脳の一種であり、仮面ライダーなんかでは、ショッカーは完全に悪の象徴だ。しかし、果たしてそうだろうか?ショッカーは本当に悪いのだろう?悪いところしかテレビに出てこないから悪なのであって、実はいろいろとショッカー側の理論で世界の将来を考えているかもしれないのだ。よく考えればわかるだろう。ショッカーだってサラリーマンで、仕事が終わると覆面取って家族の元に帰るのだ。その子どもにとってはショッカーも立派なお父さんだ。
まあ、それは置いておこう。そう、「世界征服を狙う」という思想自体が悪なのであろうか?世の中の指導者、各国の統治者は、あわよくば世界征服も狙っている。口には出さないが、できればそうしたいと思ってる。特に大国のトップはそう思ってるはずだ。アニキは何が言いたいのかというと、ショッカーの世界征服の内容にもスポットを当てるべきなのだ。もしかすると、ショッカーが世界を征服した方がよいことがあるかもしれないのに、仮面ライダーはただそれを阻止しようとする。仮にショッカーが世界征服したなら、仮面ライダーは悪の象徴となる。それが世の中だ。なのに、仮面ライダー側からしかスポットを当てないから、正義は仮面ライダー側で、悪はショッカーと映ってしまうのだ。
ところがその後、ヒーロー物でも相手側の正義も取りあげる物語も出てきた。アニキの思い出すところでは、機動戦士ガンダムだ。ガンダムは敵側の心理なんかも描写されていたから、正義がぐらつくことになる。敵がかっこよく見えることもあり、「俺は敵の方が好きだ!」という風になるのだ。この辺りから視聴者は、「あれっ?」と思ってきたのだ。敵側の論理にもスポットを当てるヒーロー物が、それ以降どんどん出てきた。平成に入ってからの仮面ライダーなんかはまさにこの典型だ。敵側の正義がクローズアップされるもんだから、どっちが正しいのかわけわからなくなる。大人はよく理解できるのだが、子どもには非常に難しい展開だ。結局子どもは、ストーリーが複雑すぎてよくわからなくなり、戦い場面のみでおもしろがる。大人にはとても興味深いストーリーなので、深く考えてしまうおもしろさがあるのだ。この傾向は年々強くなってきて、今では必ず敵側の心理描写や正義などを取りあげるようになっている。物事は両面から見る。これが正しい形であろう。
昔のヒーロー物では、勧善懲悪を掲げて、しかもヒーロー側の一方的な論理でのみ物語を展開していたから、怪獣が悪であることに何の疑いも持たない。これを昭和30年代から植え付けられていた我々は、まさに一方的論理でじか考えられない人間になってしまったのだ。これはまさに洗脳であり、日常生活の中においても、「自分が正しい」という思い込みとなる。そこには何の疑いもない。
現代人に、「相手の主張に耳を傾ける」「相手の話を聞く」という基本的な姿勢がないのはこのためである。