最近、堅苦しい哲学の話ばかりだから、今日は久しぶりにくだらない話をしよう。4月となれば新歓シーズンだ。それにちなんだ大変タメになる話を聞いてくれ。
大学や会社に入ったら、新人若手は必ず宴会芸をやらされる。芸人のようにネタの多い奴は苦労しないが、一般人は芸に苦労するはず。芸のない奴は「男なら脱ぐ」しかないのが日本の常識となってる。理不尽ではあるが、お下品な芸を披露しなければならない。毛を焼いて「花火」、人の頭に載せて「チョンマゲ」、袋を広げて「ゾウさん」など、下品きわまりないその芸に、まず女性はどん引きだ。喜んでいるのは男の先輩だけだ。でもそれは洗礼みたいなもので、下品であればあるほど先輩の機嫌はよい。歌なんか上手に歌を歌ってもブーイングで、先輩はキレて、結局は脱がされて「花火」をやらされる。大学が一流であればあるほど、先輩の求めるお下品さの基準は高くなる。新人にとってはまさに地獄。
どうしたらよいのか。そこはあきらめてお下品な芸を披露するしかないのだ。しかし、芸のアイデアがなければ、前述のように先輩のいいなりで、「ゾウさん」が待ってる。ならば、お下品な芸を自分で考えて先輩の度肝を抜くことだ。そこで、アニキが商社時代に考案した芸を新人諸君に教えるので、ぜひ使ってみてくれ。今日は究極を三つ紹介する。
◇二人羽織ボクシング
これは、読んで字の如し。二人羽織でやるボクシングだ。用意するものはボクシンググローブと羽織だけ。メンバーは4人で2人ずつのチームで対戦する。前面の盾になる男がメインだから、後ろの殴り役は先輩でもいい。勝負は鼻血が出たら負けだ。3ラウンドもやれば決着がつくはず。昔、これは盛り上がったぞ。下品ではないから、女性からどん引きされることがないのがメリットだ。
◇尻り舞
読んで字の如し、尻を使った獅子舞だ。人数は最低3人必要だ。比較的広い会場において威力を発揮する。一人が獅子の頭の役、あと二人は獅子の前足と後ろ足役だ。獅子の頭役の男は当然全裸だ。頭役はうつぶせになり、尻に獅子の顔描く。タマ袋を獅子の鼻に見立てると、よりそれらしくなる。そうだ、尻が獅子の顔だ。そして尻の周りを覆うように、そう獅子舞のように大きなシーツを被ぶせる。ちょうど、尻だけが出るようにする。前足役の男は獅子頭役の男の両足を担ぎ、シーツの中に身を隠す。ちょうど頭役の男の股の間に前足役の男は頭を入れるようにすると安定する。後ろ足役の男は、頭役の男の上半身を担ぐようにし、シーツの中に身を隠す。ここまでを裏で準備する。そうだ、遠くから見ればどう見ても獅子舞だ。
その形で会場を練り歩くのだ。演出も必要だ。誰かに解説を頼む必要がある。解説はこうだ。「縁起の良い獅子の頭を撫でると運がつき、獅子に頭を咬まれますとその年は病気にならないと言います。さらに、獅子の頭を舐めますとお金に困りません。さあ、どなたか、頭を咬んで欲しい方はいらっしゃいませんか。」と言いながら、その会場のトップや一番威張ってる奴のところへ練り歩いて行き、「無病息災」といいながら、獅子の頭をそいつの頭にこすりつけるのだ。会場が湧いている中、やられた奴も流れに水を差すわけにいかないので、されるがままだ。小気味の良さは格別だ。「こんな芸をやらせやがって」と、主催者への復讐も同時にできるからすばらしいのだ。
アニキは当時、前足役だったのだが、ものすごい体力を消耗する。なんせ、男の下半身を上下左右に揺さぶりながら歩かねばならないから、終わったあとはへとへとで、周りの反応を見る暇がなかった。経験より、前足役は2人の方が動きが軽快になりよいかもしれない。下品だが、観客に見せるのは尻だけだから、まだお下品さは少ない。しかもこれは、かなりウケる。