アニキの前の会社にTさんという先輩がいた。なかなかよい人で、アニキは自転車が趣味の時期があり、一緒に休日にはサイクリングに出掛けた。ある日、一緒に自転車ショップに行った時のことである。自転車用のヘルメットを購入しようと、Tさんはいろいろと試着していたのだが、どれもサイズが合わない。そんなことはないということで、店員さんが手伝ってくれたのだが、確かに合わないのだ。その原因を分析したところ、頭の大きさではなく、形が普通の人と少し異なっていた。頭の奥が長いのだ。上に長いのではなく、斜め後ろに長く伸びているという特徴がある。ちょうど、映画のエイリアンのような感じで、エイリアンにヘルメットをかぶせるような雰囲気だ。そこですかさず、「かっこいい頭の形ですね、エイリアンみたいですよ」とTさんを褒めた。結局そこに置いてあるヘルメットはどれもダメで、外人用を取り寄せるという結果になった。
頭の形と言えば、こういう話もあった。アニキが新人営業マンの頃、取引先にK部長という人がいて、この人の頭の形が気になった。頭のてっぺんがとがっているのだ。こんな人は初めて見るのだが、いつもK部長と会うと頭に視線がいってしまい、あまり見ないようにはしていたが、気になった。なぜなら、その部分を手で持てそうな感じにとがっていたからだ。ちょうど、ちびまる子に登場する長沢くんのようなイメージだ。ホントにそんな人がいるんだなと、マンガであるちびまる子の登場人物は、だれもが現実離れしたキャラであるが、実は現実に存在していたに違いない。
昔、アニキの以前の部署にKさんという女性がいた。彼女はいい歳なのだが、なかなか結婚しない。結婚するのが嫌なわけではないらしい。男の理想が高くなかなかお目当ての男が目の前に現れないという。好みを訊いてみたが、「白馬に乗った王子様」が迎えにきてくれるはずだから待っているという。占いでそう言われたようなのだ。この現代、白馬の王子とはどんな奴だ?と。いかがわしさ満点である。白いタイツでもはいているのか?本当にそうなら、それは王子でなくただの変態だろう。その夢を律儀に信じている姿が健気なので、あまりチャチャ入れるのは止めていた。しかし、月日は過ぎて10年以上も経過したが、白馬の王子は一向に現れないようだった。会社の飲み会の時に状況を聞いてみた。彼女は占いが当たらなかったんじゃないかと落ち込んでいた。アニキはかわいそうに思い、「待ってもダメなら、そろそろ自分からアタックしなきゃ」とアドバイスし、「今更王子様は無理だから、王子はやめて乗っている白馬を狙いな」と。何事も理想を追うのではなく、身の丈を考えないといけない。白馬なら何とか手が届くはずだ。