「どっこい大作」を知ってるか。
「どっこい大作」を知ってるか。

「どっこい大作」を知ってるか。

 アニキが小学校3年生頃に放映された根性者のドラマだ。この年代の人間ならだれでも知っている人気ドラマだった。ちょうどアニキの家にカラーテレビが登場した、うれしい時期の番組だった。このドラマ、とにかくすごい。主人公の青年「大作」は、田舎から出てきた若者で、学歴なし、特技なし、小太りで根性だけが取り柄だった。とりあえず仕事をするのだが、下積みから地道に努力して、日本一を目指す。確か仕事は3箇所を舞台とし、「ラーメン屋⇒そうじ屋⇒パン屋」の順にその店を日本一にしてゆくのだ。そのそれぞれの店で最初、とにかく鍛えられる。挫折と小さな成功を繰り返しながらガンバルのだ。アニキは子どもの頃、「世の中は何て厳しいのだ。」とか、「この若者は何でこんなにすごいのだ。」と、興奮しながら見たものだ。

 何と言ってもまず印象的なのは、オープニング主題歌の場面だ。汽笛を鳴らし、ものすごい黒煙をまき散らして爆走するSL(機関車)の横で、「どっこい、どっこい」と汽車に向かって裸でつっぱりする。そのシーンが毎回登場する。SLが近づくにつれて、汽車の轟音と警笛が大きくなる。一方、大作の突っ張りの勢いも頂点に達する。機関車と大作を代わる代わる写して、両者の対峙する勢いを描写している。機関車はまるで大作に襲いかかる猛獣のようで、大作はその狂った猛獣を止める勢いがあり、息をのむシーンだ。こっちに向かって近づいてくる機関車は、まさに狂った猛獣だ。子ども向けドラマで、こんな激しいツカミを見たことがない。このつかみにより、視聴者はすでに大作の世界へ引きずり込まれていた。

 そしてもう一つ印象に残ったシーンは、パン屋での修行のシーンだった。いきなり親方が大作の一生懸命に作ったフランスパンを取りあげて、「おまえのパンなんかこの程度の価値しかない。」みたいなセリフで、パン粉にしていたのが印象的だった。

 とにかく毎回すごいのだ。大作はそのたびに奮起し、改良を重ねる。ここには一途な努力と工夫だ。当時はこのような時代であったと思うが、今でも必要なことは山ほどある。こんなのは時代遅れだとか、努力なんてくだらないとか言う若者が多いが、時代なんて関係ない。努力をおこたった怠け者の末路はいつの時代も同じではないか。じゃ、君たちは何をするのだ、一体?自分に合う仕事が見つからないとか、興味のある事が見つからないとか、天職に巡り会えてないから燃えないのだとか、考えているんじゃないか。

 言っておくが、天職なんて存在しない。大人は皆知っている。今、目の前の事を一生懸命できない奴の前に、天職など現れない。天職は探すものではない。なくした物を見つける時と同じだ。探している時は見つからないものだ。天職とは、死ぬ時に自分のやってきた事、それが天職であったと気がつくだけだ。

 話を戻すと、この「どっこい大作」から学べることは、仕事への姿勢だ。目前の事をとくかく一途に取り組む。そこには結果を意識し、くふうする。努力する奴は多いが、特にこの大作のすごいのは「考え、工夫する」ことを怠らないのだ。ここが学ぶべきポイントである。ぜひ見てほしいが、どうなんだろう、このDVDは出てるのかな?再放送はしないのか?アニキも状況はよくわからないが、機会を得たら逃さず見てくれ。

 仕事で楽することは実は悪くない。楽することは大事なことなのだ。しかし、気をつけなければならないのは、自分だけ楽するのではなく、みんなが楽できることを考えなければならない。自分だけ楽することを考えるから、非難されるのだ。みんなが楽できれば合理化だ。これが仕事の極意である。大作から学べることではないが、重要なので付け加えておく。

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